040815
愛と炎の人
妻と高一の息子の3人で、『石井のおとうさんありがとう』という映画を観にいきました。この映画は、 今から100年程前、明治、大正期のわが国の社会事業史に大きな業績を残した、『岡山孤児院』の創設者で、 児童福祉の父とも呼ばれた石井十次氏の波乱万丈の人生を描いたものでありました。
彼が医者になるために、ある村で実習をしている時に、貧しい母親から一人の男の子を預かったのがきっかけで、 恵まれない孤児を次々に引き受けることになり、ついに医者になる夢も捨てて、孤児の救済に立ち上がります。
明治24年に起きた濃尾地震の際は、すぐに出かけて行って被災児93名を救済、 明治39年の東北地方を襲った冷害による被災児を救済した時には、孤児はすでに1200名に達していました。
当時はまだ福祉ということばすらない時代で、国からの援助など望めるべくもありません。そのような中で、 文字通り命をかけて孤児たちの救済と養育のために全力を尽くして走り回り、 一人の餓死者も出さないで3千人もの孤児を育て上げました。
私はこの映画を観ながら、たった一人の炎のように燃える人が立ち上がることによって、 このように多くの孤児が救済される。一人の人が情熱をもって何かを始めるとき、 不可能を可能にする世界が開けるのだと感じました。
折りしも、先日の祈祷会で、『山谷のお母さん』というビデオを観ました。山谷では歳をとって働けなくなった人や アル中になっている人など200人が公園に青カン(野宿)をしながら生活しているというのです。
それを見た森本春子さん(ハレルヤおばさん)はおにぎりやパンを配りながら彼らを助け始めます。牧師である彼女は絶望の淵にあり、 生きる希望さえ失った彼らに食べ物を与え、同時に救いと希望のメッセージを語り、多くの人に生きる希望を 与え続けておられるというものでした。
取材に行った人たちがその集会場所の臭さや異様さに驚いて帰ってこられたのに対し、森本さんは平然として、 迫力のある希望のメッセージを語っておられたということでした。
石井十次氏と森本春子さんに共通するものは、人々が目を向けたがらない他人の苦しみを自分のこととして、 命をかけて関わっていこうとする姿勢と、お二人ともクリスチャンで、自分の小ささを自覚した上で、 自分がするのではない神様がされることに自分は協力させていただいているだけだという神への信頼と謙遜な姿勢です。
これらの二つを観たことによって、私は大きなショックを受けました。彼らの真剣な命がけの生き方に比べて、 私はなんと生ぬるい人生を送っていることだろう。
私は、私を強くしてくださる方によって、どんなことでもできるのです。ピリピ4:13
「心を尽くし、思いを尽くし、知性を尽くし、力を尽くして、あなたの神である主を愛せよ。」 「あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ。」この二つより大事な命令は、ほかにありません。マルコ12:30〜31