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050206

母との生活U

痴ほうが進んでしまった母との生活が始まって、私たち夫婦の生活が一変しました。すべてが母を中心に回っています。

先日、牧師の集まりがあって私は外出しましたが、母のことが気になるので早退させていただき、急いで帰って来ました。

家に帰ると母がコートを着て外出の準備をして立っていました。そして、妻はそれを阻もうと 必死で外に出ないように留めているところでした。

理由を聞くと、母が口紅をなくしたので買いに出ようとしているところでした。 85歳になっても女性は女性なんだなと思いながら、3人で車に乗って口紅を買いに行くことにしました。

私にとって、口紅を買うということは初めての経験でした。『あれが良いかな』『これも良いんじゃない』なんて 母と一緒に言いながら口紅を買い、母も気に入ったのを選べて喜んでいるようでした。

帰りにスーパーマーケットに寄って、おばあちゃんが喜ぶからと、妻が夕食の刺身を買って帰りました。

家に帰ると、『あら、入り口はそっちなの』なんてと言ったので、さっき出たばっかりの玄関がわからない様子には、 正常な時とのギャップがあまりにも大きいのでびっくりさせられました。

夕食のときは、母は肉じゃがや刺身を喜んで食べていましたが、気をつけていないと刺身のしょうゆを飲んでしまいます。 しかし、それを止めようとした時あたりから、少しづつ母のイライラがつのってきて、分別を失ってきました。

そして、夕食を食べ終わると、こんどは口紅を冷蔵庫に入れようとします。私がそれを拒むと、急に怒り出して、 「腐ったらどうするのね、あなたが食べなさいね」と言葉を荒げてきます。

私も意地になって、「今日お店で口紅を買うとき冷蔵庫に入っていた?」と聞きます。 すると母は、「お店で冷蔵庫に入れていたら、どうして売れるのよ?」と言い返してきて全く通じません。

以前はしっかり者で頭の良い母でした。そして、今でも比較的正常な時は、そろばんを弾いたり、 一心不乱に大正琴を弾いたりします。また、断片的ながらも昔の話をしてくれます。

しかし、一度パニックになると手がつけられなくなってしまいます。口紅を冷蔵庫に入れるかどうかで喧嘩するなんて 馬鹿みたいだと思いながら、親子喧嘩をせざるを得ないことが情けなくなってきます。

けれども、これと似た思いを何度かしたことがあるなと思い出しました。それは福音を伝えようとする時です。 『人のために神の御子が人となってこの世に生まれて来てくださって、私たちの罪の身代わりとなって 十字架にかかって死んでくださった。これを信じる者は救われ、永遠のいのちを受けることができるのですよ。』と話しても、 あなたは何を非常識なことを言っているのかと、一笑に付されてしまうことがしばしばありました。

十字架の言葉は、滅びに至る人々には愚かであっても、 救いを受ける私たちには、神の力です。Tコリント1:18

人は同じベースに立たないと、説得しても通じようがありません。ただ、福音の場合は聖霊の助けによって、 突然悟ることが可能です。母も突然昔のように話が通じる賢い母になって欲しいと祈らずにはいられません。

母が早く昔のように戻ることができるように、そして、神を信じることができるように、 私たちは常々祈っていきたいと思います。


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