050306
お宝発見!
児童通学保護員の2月の報告書を持って喜入小学校を訪ねました。校長室で秋武校長と話していると、先生が 「すごいものが出てきました。」と言って、額縁に入った古い賞状を持ってきて見せてくださいました。
見るとその賞状には昭和14年と日付けが入っており、喜入小学校が中央公論社主催の全国のつづり方で、殊に優秀な成績で 特選として選ばれたというものでした。
「ほう、すごいですね。」というと、校長先生がここを見てくださいと表彰者の名前が書いてあるところを指差されました。
そこにはつづり方を選出した選者と思われる方々の名前が書いてありました。私はその名前を見て仰天しました。 そこには島崎藤村、川端康成と署名してあったからです。
私は「先生これはすごいですね。これは大変なお宝ですよ。」といいながら、まじまじとその賞状を見つめ直しました。
そこには明らかに本人の自筆で、余り達筆ではないけれど緊張してかかれたであろう「島崎藤村」との名前と、 余り綺麗な字ではないけれど力強く、勢いを感じさせる「川端康成」との名前がはっきり書かれてありました。
また、その額縁には賞状と一緒に、当時表彰された子供たちと先生方を写した写真も挟まれていました。緊張して写真の前に並ぶ 小学生の中には、小学2年生ぐらいのクリクリ坊主のかわいい少年が写っていて、その方は今も、学校のすぐ前に住んでおられる 上村のおじいちゃんだということでした。
先生のお話によると、このたび鹿児島市に吸収合併された喜入町の歴史を残すために、資料を集めにこられた役所の方が、 資料室に埋もれているのを偶然見つけられたとの事でした。
この賞状もこういうことがなければ日の目を見ることはなかったのかなと思いながらも、同時に良く出てきてくれたと 感謝の思いでいっぱいになりました。
喜入小学校の子供たちも自分たちの学校は素晴らしい歴史のあるところであることを誇りに、作文に勉強に、 日々成長して欲しいと思います。
そこであくる日、5,6年の子供たちに聞くと、賞状が出てきたことはみんな知っていました。しかし、肝心な島崎藤村、 川端康成を良く知らないようでした。
そこで、私の薄い知識ながら、島崎藤村は詩人で作家、「破壊」「夜明け前」などを書いた人、川端康成は「伊豆の踊り子」 「雪国」などの小説を書いた人だよと教えました。
この子供達は今はぴんと来なくても、中学生になったらきっと、一層の興味と親近感を持ってこれらの小説を読んでくれるように なるのではないかと思います。
天の下では、何事にも定まった時期があり、すべての営みには時がある。生まれるに時があり、 死ぬのに時がある。植えるのに時があり、植えた物を引き抜くのに時がある。・・・探すのに時があり、失うのに時がある。 保つのに時があり、投げ捨てるのに時がある。・・・神のなさることは、すべて時にかなって美しい。 伝道の書3:1〜2,6,11
この世の営みにはすべてに時があるということは、今、これが出てきたのも、本当は偶然ではなくて、 今見つけられる何だかの理由があり、次の素晴らしいことが起こるステップなのではないかと思い、喜入小学校に通う子供たちの中に、 何か素敵なことが起こることを期待して、祈りつつ見守りたいと思います。