050417
今日という日を大切に
淡いピンク色に空を染め、私たちを楽しませてくれた桜の花が散って、白いじゅうたんに代わり、あっという間に桜の季節が 過ぎて行きました。そして、今年も新入学の子供たちが、期待と不安の詰まった真新しいランドセルを背負って登校していくように なりました。
また、朝市の横の梅の木に白い産毛で身を包んで、太陽の光を浴びて薄い緑色に輝く小さな梅の実がたくさんついているのを 見つけました。
教会の玄関前の庭の千年ごけも、春を待ちかねたように急に緑色を濃くし、緑のじゅうたんのように広がってきました。
そしてついに、ツバメたちも4月9日に帰ってきて、留守の間に雀たちに壊された巣の修復を始めました。驚くことに、 ぼろぼろに壊れていた巣も、たった1日でほとんど元の姿に戻りました。
上手に手足を使えるわけではないのに、くちばしだけで短時間にあれだけの仕事をなし終えるツバメたちを見ていると、 「この世の時は永遠ではないんだよ。無駄に時間を過ごさないように、後で後悔しないように一瞬一瞬を大切に生きて行こうよ。」 と語りかけられているような気がしてきました。
季節は移り、桜の花が咲きそして散り、ツバメも帰ってきました。毎年変わらない光景です。何にも変わっていないようでも、 時は確実に過ぎて行きました。
思えば、私が一念発起して教会前の交差点に立ち、子供達とおはようと挨拶を交わし、交通安全指導をするようになってから、 早10年が経ちました。
あの時小学校に入学し、黒い真新しいランドセルを背負って学校に行き始めた、可愛らしかった3男が、今年はうっすらと 口ひげを生やした高校2年生になりました。
また、あのころ毎朝顔を合わせ、かわいい声で挨拶をしてくれた小学生たちが、今は大学生や社会人となって 交差点を通って行きます。
回りがすごい勢いで変わって成長していく中で、自分だけが10年前から全く成長できていないように思われ、毎日何をして、 何を学んできたのだろうと情けなく思います。
世の中はものすごい勢いで進んで変化していくのに、旧態依然として、相変わらず小さな教会で、以前と同じように 毎日同じようなことを繰り返しながら過ごしている自分がいます。
その間たくさんの本を読み、また素晴らしい方々と交わる機会を得ましたが、自分が人間的に確実に成長できたと 自信を持って言えるかどうか、はなはだ疑問です。
一瞬一瞬はわずかな時間です。しかし、その小さな瞬間をどのように過ごしてきたかは5年10年の単位で見ると 歴然とした差となって現われてきます。
三浦綾子さんが実話を基にして書かれた小説「塩狩峠」で、人々の命を救うため自らの命を犠牲にした、主人公長野信夫さんの お父様が、遺書に「生前私が話したこと、行ったことの一つ一つが私の遺言だと思って欲しい。私はそのようなつもりで毎日を 過ごしてきた。」と書いてあったということを思い出して、私も一瞬一瞬を大切に生きるこのような確かな生き方がしたいと改めて 思います。
聞きなさい。「今日か、明日、これこれの町に行き、そこに一年いて、商売をして、もうけよう。」 と言う人たち。あなた方には、明日のことは分からないのです。あなた方の命は、いったいどのようなものですか。あなた方は しばらくの間現れて、それから消えてしまう霧に過ぎません。ヤコブ4:13〜14
夏のうちに集める者は思慮深い子であり、刈り入れ時に眠る者は恥知らずの子である。 箴言10:5
明日に期待して、今日を適当に生きるのではなく、今日一日を大切に過ごしたいと思います。