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060514

本に化けたギター

長男の結婚式にあたり、彼が高校3年生の時、担任してくださり大変お世話になった、本村先生に是非連絡を取りたいと思いました。 しかし、息子が高校を卒業した翌年、先生も他の高校に異動して行かれ、それからすでに10数年が経過してしまった今となっては、 どこにおられるのか皆目見当が付きません。しかし、諦めないで探しておりますと、かなり結婚式も押し迫ってから、先生の現在の 勤務地がやっと分かり、連絡させていただきました。すると、お忙しい中、気持ち良くご出席くださいました。

そして先日、先生がご自分で書かれた本「きまぐれ読書通信」が送られてきました。息子に送ってくださるとは聞いていましたが、 私共にまで送ってくださるなんて、感謝で、嬉しくて、喜んで読ませていただきました。

内容は先生が読まれた様々な本の内容の紹介とそれを読まれた時の先生の背景や思いが書かれていて、とっても分かり易く、 また面白いものでした。しかし、残念ながら、私がほとんど本を読んでいないので、先生の興奮が伝わってきても、もう一つそれを 共感することができなくて、歯がゆい思いをしました。

莫大な読書量と知識の豊富さに裏打ちされた先生の文章は洗練されていて、読む人を引き込む魅力に満ちていました。毎回 楽しみにし、喜んで読書通信を読んでいる生徒さん方の姿が目に浮かぶようです。それに比べ毎週、私の稚拙な「アドナイ・エレ」を 読んでいてくださる教会員やその他の方々には、その忍耐に頭が下がります。

先生と私の違いを思い知らされたのは、先生が大学生のころの出来事を読んだ時です。先生もご他聞に漏れず、他の苦学生と同様に 生活のためにアルバイトをされていたそうですが、バイト代が入るとそのお金を持ってまず本屋に行き、読みたかった本を数冊買って きては読んでいたそうです。インスタントラーメンをすすりながら、本題を捻出していた先生はついに栄養失調になられたという エピソードまで載っていました。私の学生時代も先生と同様に金がなくなるとインスタントラーメンをすすってはいましたが、 バイト代が入ると直ぐ酒やパチンコにそれが化けてしまいました。

また、先生の本好きのエピソードは、書店から注文した本が届いたとの連絡を受けたが、2千円ほどのお金が無くて取りに行けない。 数日すると仕送りが届くことになっているのに、その2、3日が待てない。どうしてもその本を読みたかった先生は夏休みに アルバイトをして買ったばかりのギターを持って質屋に行って、買った時の十分の一ほどの2千円の現金に替えて、それで 「トルストイとの有縁」という念願の本を読むことができた。

結局ギターは戻らなかったけど、先生はそのことをちっとも後悔していない旨書いてありました。こんな真面目な学生の存在に 驚かされます。一方、時代は違いますが私の学生の頃はというと、ある時全くお金がなくなってご飯も食べられなくなりました。 それで、必死で机や洋服、ベッドの下などを探していると百円玉が1枚出てきました。これで今日は、パンぐらいは食べられると 喜びました。当時百円でパン1個と牛乳ぐらいは買えました。しかし、ふと見るとタバコも切れていました。ああ、もうだめです。 パンは我慢できてもタバコは我慢できません。結局それでタバコを買って1日過ごしました。先生とは雲泥の差です。

神様はこんな私を見捨てないで、牧師にしてくださいました。もちろん、今は酒もタバコも、パチンコも私にとって全く魅力の 無いものになりました。そして、遅ればせながら少しは読書の喜びを知るように変わりました。

誰でもキリストのうちにあるなら、その人は新しく造られた者です。古いものは過ぎ去って、見よ、 すべてが新しくなりました。Uコリント5:17

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