060618
主人在宅ストレス症候群
私は終戦後の出産ラッシュの中に産まれてきました。小学校、中学校、高校と常に他の学年より人数が多いベビーブームの頂点に いました。私たちの世代は戦争によって荒廃した日本の復興のために労働力となり、日本の経済的な成長のために粉骨砕身、身を粉に して働いてきた世代です。そして今、いわゆる団塊の世代と言われた私たちの世代が定年を迎えようとしています。感謝なことに私には 定年がないので、今しばらくはこのまま働けそうですが、多くの同世代の人たちが働き場を失ってしまいます。
この大量定年退職時代に心配されているものの一つに、今日の主題「主人在宅ストレス症候群」といわれるものがあるそうです。 これは退職者自身が罹る病ではなく、それを迎える奥様方に起こる肉体的、精神的なストレスから起こる病気だそうです。それは、 奥様方が毎日家にいて掃除、洗濯その他もろもろの家事をこなしながら数十年を一人で過ごして来たところに、退職して暇を持て余し、 テレビの前を一日中占領してごろごろして動こうとしない、グータラな夫の世話までしなければならなくなり、ストレスが溜まって くることによるものだそうです。
定年退職後、男性で最も多いパターンは、一日中寝巻きのまま着替えることもしないで、ソファーの一角を陣取って、毎日飽きも せず新聞を読んだりテレビを見たりして時間を過ごす。そして、時々大声を上げて「おーい、タバコ。」「おーい、新聞。」「おーい、 お茶をくれ」。家事に追われてただでさえ忙しいのに、一から十まで妻に注文してくる夫。そして、夫の唯一の楽しみは食事。ほとんど 運動もしないのに朝ごはん、昼ごはん、夕ご飯をしっかり食べる。今までは、1人で適当に済ませていた昼ごはんまで、毎日気を つけて作らないと色々いちゃもんが付く。
そして、今まで会社で部下に言っていた小言の矛先が妻に向くようになる。「あそこが汚い。」「掃除の仕方が悪い。」「テキパキ しろ。」「段取りが悪い。」などなど、よくもまあこれだけ小言が言えるものだと思うぐらい色々難癖をつけてくる。
妻が堪り兼ねて「あなたも少しは外に出て運動でもしてきたら。」とでも言おうものなら、「俺は40年近くも毎日毎日外に出て、 家族のために一生懸命働いてきたんだ。好きなようにして何が悪い。今からはゆっくりさせてもらうよ。」との言葉が返ってくる。
夫の言い分も分からないではありませんが、重要なことは妻も家でその40年の間、家事や育児に頑張って働いてきたのです。 夫がそこを見ないことによる、理解不足が妻にストレスを与え、色々な症状が現われてくる原因になるのだと思います。
日本の場合、妻達の家事労働は「3食昼寝つき」と言い、気楽な永久就職だという間違った考えが夫達のうち横行しまっているところに 問題がありそうです。
私は以前アメリカ人の牧師が奥様のことを次のように言うのを聞きました。「私には妻を愛する理由があります。彼女は家にいて くれるでしょう。子ども達の面倒を見てくれるでしょう。私のために健康等も気遣ってくれて、支えてくれるでしょう。・・・」。
私は彼が「彼女は家にいてくれるでしょう。」と言ったとき、彼の言っていることがはっきり理解できませんでした。しかし、彼は 「家にいて彼女が家を守ってくれるので、私は外で働くことができたんだ。決して私だけが働いてきたのではない。二人で協力して 働いて家庭を守ってきたのだ。」と言う思いが込められていたのだと思います。夫がこのような思いを持つことできたら、妻が病気に 追い込まれるようなことは無くなるのではと思います。
そのように、夫も自分の妻を自分のからだのように愛さなければなりません。自分の妻を愛する者は 自分を愛しているのです。エペソ5:28
世のお父さん方、熟年離婚をされないようにお互い気をつけていきましょう。男はひとりになるとからきし意気地がなく、ひ弱な 存在です。さびしい人生を送らないように妻を大切にしましょう。