070506
天真爛漫
学校では新学期が始まり、暖かさも少しずつ増し加わって来たので、子ども達が早めに登校するようになってきました。そこで私も、 朝6時50分には街頭に立って、子ども達の登校を見守るようにしました。
元気で、はち切れんばかりに飛び跳ねて来たり、また何人かで、車の影に轢かれないように、車が通るたびに一斉に飛び上がったり して、楽しそうに登校してくる子供たちに接するだけで、こちらも自然と元気と力が湧いてきます。
今日も何時もの様に街頭に立っていると、7時過ぎに最初の子が歩いてくるのが遠くに見えました。よく見ると3年生の慶太君の ようです。この頃彼は早く登校するようになりました。どうやら同級生の誰よりも早く学校に着きたい様子です。だから、同じクラスの 女の子でも遠くに見えようものなら、すごいスピードで走って学校に向かいます。女の子も「今、行ったのは誰?けいた?ちくしょう。」 なんて言って急いで追いかけます。
しかし、今日はどうも彼の様子がいつもと違います。なんだか彼の頭の上に白いものが乗っかっている様に見えます。その白い部分は 頭全体ではなく、一部なので帽子ではなさそうです。近づいてくる彼を見ていると、どうやら頭の上に 白いガーゼが付いているようです。
彼が来たので「慶太君。頭はどうしたの?」と聞いてみました。すると、彼は「昨日、はしごが頭に倒れてきたの。」と言います。 「病院に行ったの?」と聞くと、「うん。指宿の病院に行った。」と答えます。私が「痛くない。大丈夫。」と聞くと、「うん。痛くないよ。 大丈夫だよ。」と元気に話しました。彼はそれより「昨日たっちゃんと一緒にプールに行くことにしていたのに、僕が病院に行ったので、 行けなくなっちゃったんだ。」とそっちの方が残念そう。「ああ。そのぐらい元気があったらもう大丈夫だな。」と思いながら彼を 見送りました。
このように子ども達はよく怪我をして、包帯を巻いたり、絆創膏を貼ったりしてきます。先日は5年生のミーちゃんが7時 50分ごろ、痛そうに足を引きずりながら歩いて来ました。私が「どうしたの?」と聞くと「捻挫しちゃった。」と言います。 いつもだったら「学校に遅れるから急いで行きなさい。」と促すのですが、彼女を見ていると、そうもいかないようです。そこで、 「気を付けて行きなさいね。」と言うと、ニコッと笑って「はい。」と言って学校に向かって再びゆっくり歩き始めました。
彼女は、しばらくは痛々しい格好で足を引きずりながら、それでも車で送ってもらわないで、頑張って歩いて登校して来ていました。 そして捻挫も徐々に良くなり、ついには走って来られるようになりました。その姿を見て、私も嬉しくなって、「良かったね。 走れるようになって。」と心から声をかけました。すると彼女もニコニコと嬉しそうに微笑みながら「はい」といって学校に駈けて 行きました。
このように毎日街頭に立って子供たちを見ていると、怪我をしたり病気をしたりといろいろなことを見聞きします。しかし、 病気して学校を休んでも、怪我をしてもすぐまた元気になって、何事もなかったかのように登校してゆく子ども達の純真な笑顔を 見ていると、いつも励まされ、力をいただいて毎日を出発できます。子ども達の純粋で、前向きな明るさに日々接しながら12年もの間、 緑のおじさんを続けて来られたことを嬉しく思います。
しかしイエスは、幼子たちを呼び寄せて、こう言われた。「子ども達を私のところに来させなさい。 止めてはいけません。神の国は、このような者たちのものです。まことに、あなた方に告げます。子どものように神の国を受け入れる 者でなければ、決してそこに、はいることはできません。」ルカ18:16〜17