070527
千葉紀行Ⅱ
息子達の住む千葉の旭市は、私が勝手に想像していた、大きな建物が連なる都会的な少しごもごもした町とはおよそ違って、少し 脇道に反れると田んぼや畑が広がる農業を中心とした長閑で住みやすそうな町でした。おそらく、東京という大量食糧消費地を控えて、 一大供給基地としての重要な役割を担っているからだろうと思います。
息子が運転する車は小さな路地や田んぼの間の細い道を何度も、何度も、曲がりながら進みます。私が千葉に来て最初に感じた ことは、「ここの人は道路に余り関心がないのだろうな」ということでした。東京から続くメイン道路でも大型車同士がすれ違う際は 片方が止まって待っていないといけないような狭い道です。きっと、こちらの人はこういうことに神経を使わない大らかな県民性 なのでしょう。
しばらくして車は彼の家に到着しました。彼の家はカトリック教会が運営する療養所や病院、授産施設等が散在する広い敷地の中に あって、彼の家のすぐ横はテニスコートになっていました。また、狭い道を隔てて男子寮や女子寮、それに宿泊施設が建ち、その先は 広い駐車スペースになっています。また、少し離れた所にはカトリックの聖堂、体育館や授産施設で造られたパンを販売するお店まで あり、さらに少し海側に移動すると広い運動場まで備わっていて、この施設自体が一つの町のようになっていました。
彼の家は１軒屋で両隣に１軒ずつ家が建っていましたが、現在はその両隣には誰も住んでいませんでした。庭には彼らが丹精をこめて 作った大根やナス、トマト、人参、きゅうり、とうもろこし、スイカ、それに花までが所狭しと植えられていました。また、家の中は まだ家財道具が少ないせいか、結構広くてガランとした感じがありました。私達の新婚当初の狭い古びたアパートにくらべると、彼らは 随分恵まれているなと感じました。
夕食ができるまでの間、赤ちゃんを抱かせてもらいました。久しぶりに赤ちゃんを抱くので、最初は少し緊張しましたが、抱いている うちに昔子供を抱いていた時の感覚を取り戻してリラックスして抱けるようになってきました。しかし、抱いている時に大きな物音で もしようものなら、彼女は手も足も動かして体全身でびっくりします。また、泣いている時も喜んでいる時も可愛い小さな手足を バタバタ動かして全身で感情を表します。その仕草が如何にも可愛くて、いつまでも見続けていました。
私が彼女の顔を見て「あーうー、あーうー」と語りかけると、彼女も何か言いたげに「あうー、あうー」と返事をしてくれます。 彼女の「あうーあうー」を聞きながら、私が「そうかそうか、分かった分かった」と適当な返事をしていると、そのうちに泣き始め ました。そこで、お母さんが来てオムツを調べると濡れています。お母さんがオムツを取り替える間、赤ちゃんは「何が分かっただよ。 ちっとも分かっていないじゃないか。」とでも言いたげに私を見ているように思いました。
私達の食事が始まると彼女は３つの小さなぬいぐるみがぶら下がった下に敷かれた自分の小さな布団に寝かされます。ぬいぐるみの ひとつをお父さんとお母さんはティガと呼んでいましたが、他の２つのぬいぐるみには名前がなさそうで、特に名前で呼ばれることは ありませんでした。赤ちゃんはそれらを見ながら、手足をバタバタさせて動き回っていました。
孫達は老人の冠、子らの光栄は彼らの父である。箴言１７：６（人が孫の姿を見るまで長生き できたら、それは主からの祝福であり、誉である。父は、子どもが尊敬し、他人に誇ることのできるような存在にならなければ ならない。） の意
今日の聖句のように、私は孫を見ることができ、主の恵みを実感してとても幸せです。また、お父さんも子供に尊敬されるように 頑張ってくれることでしょう。