070930
CDの中の孫娘
以前、旧友が尋ねてきた時、彼がおもむろに胸ポケットから大切そうに取り出して見せてくれたのが、彼の孫娘の写真でした。その とき彼が興奮して嬉しそうに話してくれたお孫さんの話を聞いていても、孫のいなかった私には彼の興奮をもう一つ共有することは できませんでした。お爺ちゃんになると何故か孫の話をしたがります。しかし、聞く方は大変です。時にはくどい話に辟易させられて しまうことだってあります。しかし、皆そういうことを承知で尚且つ話をしてしまうのです。そこらを斟酌して私の話をも辛抱して 聞いていただきたいと思います。
千葉の長男から孫娘の姿を映したCDが送られてきました。孫も生後早7ヶ月が経過しました。鹿児島に来てくれた時は、まだ 5ヶ月目だったので、ただじっと抱かれているだけの赤ちゃんという感じだったのに、CDの彼女は髪の毛も伸び、からだも大きくなり、 随分お姉ちゃんになったように感じました。
CDの映像の一つは、彼女が広い床をほふく前進しながらペットボトルを追いかけているものでした。短い手足を器用に動かし ながらペットボトルに向かって突進します。そして、ちっちゃい手で掴もうとするとペットボトルはすり抜け、さらに先に転がります。 すると、またそれを目がけてお腹で重心を取り全身をくねらせながら進みます。お母さんによるといまペットボトルに夢中になって いるということです。
もう一つは、高さ15センチほどのお父さんの座椅子によじ登ろうとする映像です。頭から胴体までは上がれるのですが、両足が どうしてもずり落ちてしまいます。座椅子の肘掛に片手を掛けて挑戦しますが、椅子の奥が浅いのもあって、なかなか上ることが できません。それでもあきらめることなく何度も挑戦します。きっと毎日このようなあくなき挑戦を続けているのだろうなと 感心します。
さらに、お父さんに抱かれた彼女が蛍光灯の紐を掴もうと必死で手を振り回しているものもありました。紐を掴めると大声で笑い ながらそれを引っ張ります。するとカチカチと音がして明かりが消えます。彼女は大喜びです。また手を振りながら紐を捜しますが、 紐の近くを手が素通りするばかりでなかなか掴めません。しかし、その間中彼女は嬉しそうに大声で笑い通しです。
もう一つは、彼女の掴まり立ちへの挑戦です。食器棚の取っ手に手を掛けて必死に立ち上がろうともがきます。途中で足の裏が 見えたりするところを見ると、両手の力で立とうとしているみたいです。しかし、最後はヨロヨロしながらもついに掴まり立ちに 成功します。多分初めてのことだったのでしょう、ビデオを取っているお母さんから「○○ちゃんが掴まり立ち・・・しちゃった! ○○ちゃんが掴まり立ちしちゃった。すご〜い。」と興奮と驚きの声が聞こえます。しかし、次の瞬間重心を失った彼女が床にベチャッと 潰れ伏します。これからこの挑戦も続くことでしょう。
圧巻はピアノを弾く彼女の姿です。流暢なピアノの旋律が聞こえてきます。映像に写った彼女はお父さんに抱かれてピアノに向かって 指を動かしています。よく見るとお父さんが彼女の手を下から支えて、ピアノの盤上で振るわせているだけです。どうやら素敵な ピアノの旋律は別の所から流れているようです。彼女はというと自由に動きたそうで、窮屈そうにしています。「お父さんがのっている ばかりで、私は今のところ興味ないのよ。」という感じに見えます。それでもめげずにお父さんは彼女の手を支えて動かします。最後の ジャジャジャジャーンの時は彼女の右手を握って盤上で小刻みに振わした後、一流のピアニストみたいに手を振りかぶって鍵盤を勢い よくたたいて終わります。お父さんが彼女を使って遊んでいるだけという感じです。しかし、いつか彼女の本物のピアノ演奏を聴き たいなと思いました。
正しい者の父は大いに楽しみ、知恵のある子を生んだ者はその子を喜ぶ。あなたの父と母を喜ばせ、 あなたを産んだ母を楽しませよ。箴言23:24〜25