081109
次男の婚約にあたってU
(作:牧師夫人 佐多多視子)
次男の婚約にあたり、先週から2週にわたって、彼の小さい頃の出来事を思い出しつつ書かせていただいております。次男が小学校に入学してしばらくしてから でした、Aさんのお母さんから「お宅のM君がBさんに、うちの子を叩いてと言われて、叩いたそうです。Aはもう学校に行きたくないと言っています。」との怒りの 電話がありました。
Bさんのお母さんは教育ママで、週4日ほど彼女を習いごとや塾に通わせているそうです。それなのに、最近Aさんのほうがテストの成績がいいので悔しくて、 うちの息子に叩かせたようでした。
何を言おうかと心配するには及びません。言うべきことは、その時に聖霊が教えてくださるからです。 ルカ12:11〜12
「申し訳ありません。Mが帰ってきましたら、詳しく話を聞いてみます。その話が事実なら、Mを連れて謝りに行きたいのですが、お宅はどちらでしょうか。」と 言いましたら、「そこまでしていただかなくても良いです。」ということでした。しかし、「いえ、Mのためでもありますので。」と言いましたら、何とか住所を 教えて下さいました。
しばらくしてMが「ただいま〜」と元気な声で、何食わぬ顔をして帰ってきました。彼にAさんのお母さんからの電話のことを話しましたが、本人は大変なことを したという感覚は何もない様子なので、小学1年生とはこんなものなのかと驚きました。
そこで私は彼に問いただしました。「どこを叩いたの。どういうふうに叩いたの。」「Aさんがあなたに何かしたの。Bさんの言うことをなぜ聞かないと いけないの?」「Aさんはもう学校に行きたくないと思うぐらいに心が痛んでいるのよ」。
ここまで話して、ほんの少しだけ彼の顔色が変わってきましたが、まだ事の重大さが分かっていないようなので、「そしたら立場を変えて考えてみよう。Bさんに 言われてAさんがあなたのお腹を叩いたらどう?」「いやだ!」「自分がされて嫌なことをなぜするの?Aさんはもう学校に行きたくないと言っているのよ。学校に 行きたくないと思うようなひどい目にあったらどんな気持ち?そんな悲しい思いをしたことがある?」だんだん顔色が青くなってきました。
「今からAさんとお母さんに謝りに行こう。」「ええー!」「あなたのせいでAさんが学校に来なくなったら大変じゃない。自分だけ知らん顔して平気で学校に 行けるの?Aさんのお母さんもひどく怒ってたよ。心でいっぱい泣いてるのよ。お母さんがあなたを育ててるんだから、お母さんにも責任があるので、一緒に行って 謝って来よう。」と言って促しました。
彼はすごく硬直した様子で、とぼとぼ歩きだしました。「ところで何と言うつもり?」「う〜ん」「ごめんなさいでしょ。」「うん」「もう、しませんでしょ。」 「うん」「明日からまた学校に来てください。一緒に遊んでくださいでしょ。」「うん」
Aさんの家に着いて、彼は自分が大切にしていた文房具を差し出しながら、「ごめんなさい。明日からまた学校で一緒に遊んでください。」と上ずった声で 言いました。Aさんのお母さんの悲しみと怒りはまだ治まらず、(当然です)いろいろ訴えていました。
それから何日間かはAさんが学校に来ていたか、楽しく学校生活を送っているかを訪ねる毎日でした。その後もAさんとBさんのことが気になって、街のどこかで お会いできないかと思っていましたら、1昨年Aさんのお母さんに、久しぶりにお会いできました。「Aさんはその後どうしていますか。」とお伺いすると、結婚して お近くに住んでおられ、子供さんもできて幸せにしておられる様子で、安心しました。MのせいでAさんの人生がおかしい方向に行かなくて、心から良かったと 思いました。
私は、あなた方に悟りを与え、行くべき道を教えよう。私はあなた方に目を留めて、助言を与えよう。 詩篇32:8