081207
本の読み聞かせ
小学校のボランティアで本の読み聞かせをすることになりました。若い頃は本を読むのは得意だったのですが、近頃はよくかんだり、引っかかったりするように なってきたので不安がありました。しかし、他にできるボランティアがなかったので、思い切って読み聞かせに挑戦することに致しました。
12人のボランティアが、8時30分から50分までの20分間、各教室に分かれて一斉に本の読み聞かせをします。私は、高学年の担当が少ないということで 6年生のクラスを担当することになりました。
読むのに自信のなかった私は、子供たちに提供する本の内容で勝負しようと、良い本を探し始めましたが20分間で完結して、聞いた子供たちが感動してくれるような 物語を探すのに、大変苦労しました。
そういった中で、最初の読み聞かせに用いたのが、日本国際飢餓対策機構から出されたもので、エチオピアが大干ばつに遭っていた時の出来事が書かれた 「ゴンダールの優しい光」という題の本でした。
この本は、1か月余りも食料が途絶えて、飢餓の状態にあるエチオピアのゴンダールという所に飢餓対策のスタッフが食料をトラックに積んで行き、家族ごとに少し ずつ食料を配布していた時の出来事です。そこに遠くの町から食料配布があるといううわさを聞いて3日も歩いて来た二人の小さな女の子がいました。彼女たちの お父さんと弟は飢餓で亡くなり、お母さんは栄養が足りなくて目が見えなくなっていました。その子たちがお母さんと自分たちのために食糧を分けてもらおうとしたとき、 エチオピアの兵隊が来て、「ゴンダール以外の者に分ける食料はない」と銃の柄で彼女たちを突き飛ばしたので、怖くなった二人は逃げて行ってしまいました。
気になったスタッフはその子たちを探して回っていたら、ある1軒の家で、その子たちは食事を食べさせてもらい、ほかにお母さんへと少しの食べ物を分けてもらって いました。スタッフはわずかしかない食物を他の人に分けてあげたということに驚いて、その家の主人に聞くと、「自分たちが食糧を分けてもらった時嬉しかったので、 あの子たちにもその嬉しさを分けてあげたかったんだよ。自分がしてもらいたいことをあの子たちにもしてあげただけだよ。」と話したということでした。その話を、 子どもたちにしている間、先日飢餓の授業でお話しに来たばかりだったので、みな感動をもって真剣に聞いていました。
2回目はO・ヘンリーの「賢者の贈り物」の話をしました。彼の短編小説を何度か読みましたが、そのまま読むと少しわかりづらいと思ったので、大切な部分だけを 取り出して小学生に分かりやすい話にして、読み聞かせることにしました。
この話は、貧しいアパートに住むジムとデラがお互いにクリスマスプレゼントをするお話です。デラは、ジムがおじいちゃんの代から伝わってきた金時計の鎖が ちぎれて紐で括っているので、人前で時計を見るのが恥ずかしいだろうと、自分が大切にしていた、自慢の長い髪の毛をかつら屋さんに売って、ジムの金時計の鎖を買って プレゼントにします。
一方、ジムはデラが大切にしている長い綺麗な髪の毛に合う飾り櫛を、自分の最も大切な金時計を売って買ってあげるというお話です。
結局は二人のプレゼントは無駄になり、一見愚かな贈り物に見えますが、著者が「賢者の贈り物」という題をつけたのは、本当の贈り物とは、このような心からの もので、犠牲を伴うものだということを伝えようとしているのだと思います。この二つの読み聞かせを通して、子供たちが人のために喜んで犠牲を払える人になって もらいたいと願っています。
それで、何事でも、自分にしてもらいたいことは、他の人にもそのようにしなさい。これが律法であり預言者です。 マタイ7:12