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090308

落ち穂拾いの精神

アメリカのサブプライムローンに端を発した経済危機が世界同時不況を引き起こして、日本にもその影響が大波のごとく押し寄せて来ています。それによって、 派遣切りや季節工労働者の契約打ち切り等の問題が鹿児島でも起こり、市町村では失業者対策本部を立て上げている所も出て来ています。また都会では路上生活者が 急増していると報道されています。

アメリカの新大統領のオバマ氏の思い切った政策にもかかわらず、アメリカをはじめ日本に於ける株価までも、その急落はいまだに下げ止まることを知らず、景気は 急速に冷え込んでいます。

日本を代表する自動車メーカーや電化製品のメーカーは、不況の影響をもろに受けて、大幅赤字を余儀なくされており、各メーカー揃って、生産従事者の大幅削減を 発表するにいたりました。残念ながら、このような状況はまだまだ続きそうです。

文明が発達し、世の中が豊かになってきた一方で、突然昨日までの生活が続けられなくなり、人が生活していく上で最低の衣食住さえも確保できないで、路上生活を 強いられ、その日の食事にも事欠く状況に陥ってしまうというのは、世の中、何かがおかしくなっていると思わざるを得ません。

今から50年ほど前、私が子供のころは仕事がなくなっても、即食べることが出来なくなるという程のことはなかったように思います。最低食べて生きていけるほどの 手伝い仕事や援助があり、みんなが支え合って生きてけるような社会になっていたように思います。

聖書には次のような個所があります。

あなた方の土地の収穫を刈り入れるときは、畑の隅々まで刈ってはならない。あなたの収穫の落ち穂を集めてはならない。またあなたの ぶどう畑の実を取り尽くしてはならない。あなたのぶどう畑の落ちた実を集めてはならない。貧しい者と在留異国人のために、それらを残しておかなければならない。 私はあなた方の神、主である。 レビ19:9〜10

これを読むと、神様は常に貧しい者、満足な仕事が与えられずにまともな生活ができない者を顧みておられ、豊かな者が彼らを気遣うように教えています。つまり、 「小麦等の収穫をする時、畑の隅の方は収穫しないで残しておきなさい。また収穫時に落ちた穂は集めないで貧しい人に取らせなさい。同じようにぶどう畑の収穫も、 全部取り尽くさないように、それから収獲時に落ちた実も取り集めないように、それらは貧しい者たちの物にしなさい。」と命じているのです。

この聖句を読みながらミレーの「落ち穂拾い」の絵を思い出しました。落ち穂を黙々と拾い集める彼らの陰にはそれを取り落したままにしておく畑の持ち主の存在が あったことを覚えます。多分当時は、そのようなことはごく普通に行われていたものと思われます。

現在においても、開発途上国と言われる国々では概してこのような精神が豊かなのに対して、文明が進み豊かな国ほど、自分のことのみで他人のことは顧みない社会に なってしまっているように感じます。

日本もあまり豊かでなく、文明もそれほど進んでいないときは、このような助け合いの精神が生きていて、「思いやりの心」が大切にされていたように思います。 しかし、世界第2の経済大国になった現在は、どうもこれらのものが失われて、自己中心になってしまっているように感じてしまいます。

けれども、日本人の中には「思いやりの精神」というのを大切にする風土があると思います。これは「自分だけ良ければ良い」という考えではなく、他人の痛みを共に 負って行こうとする精神です。いまこそ、日本人の内にある、その良き精神を発揮する時なのではないでしょうか?私自身も、この機会に今一度自分自身を見つめ直そうと 思います。


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