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090607

希望を持って

毎年2回、春と秋に「口と足で描く芸術家協会」から作品リストが送られてきます。この団体は世界75カ国の障害者でつくられた組織で、様々な障害を負われた方々が口や足を使って、色々な絵葉書や、図書カード、スポーツタオル、ハンカチ、そのほかTシャツやバッグなどのデザインをし、それを販売して彼らの自立支援や奨学金に充てるということをしておられます。

私たちの教会でも作品リストを後ろに張り出して、注文を受け付けます。毎年のことなので、それぞれが使いきれなくて在庫を持っている状況ながら、それでも、絵葉書やバッグ等を少しずつ注文して、ささやかながらご協力させていただいております。

絵葉書にしても、図書カード等にしても、繊細なタッチで綺麗な絵が描かれていて、とても口に筆をくわえて書いたり、足の指にはさんで書いたりしたものだとは信じられない美しさです。それらは、私が手で真剣に書いたとしても、足元にも及ばない素晴らしい出来栄えです。

いつも彼らの作品を見ながら教えられるのは、能力がない、賜物がない、力がない、チャンスがないなどと無いものにばかりに目を向けて不平不満を言っている自分たちの不甲斐ない姿です。彼らの生き方を通して、無いものばかりに目を向けて、悲観しながら生きるのではなく、今あるものをいかに最大限に活用するかということを考えて、希望を持って前向きに生きるべきことを教えられます。

彼らの前向きな姿勢を見るたびに思い出すのが、全国の学校や福祉団体、ライオンズクラブ、教会等を回って講演活動をされている田原米子さんのことです。

彼女は高校生の時、鉄道自殺を図りました。奇跡的に助けられましたが、両足と左手を失い、右手は薬指と小指の2本を失ってしまいました。やがて意識が回復して自分の現実を知った彼女は絶望の淵に突き落とされます。5体満足であった時でさえ、自殺を図った彼女が右手の3本のみを残してすべてを失ってしまった現実に直面して、ただ死ぬことしか考えられなくなったというのは、仕方がないことかもしれません。

そのような彼女の所にアメリカから来た宣教師と通訳のための男性が時々たずねて来るようになりました。親身になって心配をし、励まし、お世話をしてくれる彼らの真実な姿に心は動かされても、将来の見えない、死ぬことしか考えられない彼女にとっては有難迷惑としか映らなかったということでした。

しかし、ある日彼女は自殺するためにひそかにため込んできた睡眠薬を握りしめて言います。「神様、あなたがいるのでしたら助けてください。しかし、嘘だったら私はこのまま死にます。私はもう生きる気力がありません。私には手も足もありません。こんな私が生きて行こうと思っても、人に迷惑をかけるばかりです。私の中には可能性は全くありません。死ぬよりほかはないのです。でも、あなたが生きて行けと言うんだったら、助けてください。」

あくる日、目が覚めてみると「あっ、私には右手が残っている。指が3本残っている。」という風に見方が代わっていたのです。指3本あることを喜び、使ってみたくなって、鉛筆を持って書いたら名前がかけた。それで嬉しくなってきて、それから生き方が全く変わってしまいます。やがて、その3本の指を使って裁縫をしたり料理を作ったり、普通の人以上にいろいろなことをやってのけるようになって行くのです。外出も両足に義足をつけて出てまわれるようになり、健常者の私たち以上に活動的になり、やがて通訳で宣教師についてきていた青年と結婚して2人の子供をもうけます。

彼女の屈託のない明るさと、自分を制限しない前向きな生き方に多くの人々が感動を覚え、励まされています。彼女を見て、生ける神様を知り、視点が変わると人はこんなにも生き方が変わるのかと教えられます。無いものを見て不平を言わずに、いつも希望を持って前向きに生きて行きたいものだと思います。

私は、私を強くしてくださる方によって、どんなことでもできるのです。ピリピ4:13

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