121202
フィリピン研修V
ティボロ小学校の子供たちは、明るくて人懐っこくて、とても可愛く思いました。休み時間に日本から持ってきた数センチ大の小さなコマ5個と、竹トンボ2個を 取り出して彼らの前で回してみたり、飛ばしてみたりしました。
すると、あっという間に私の周りに子供たちが沢山集まってきて、大きな人だかりができました。珍しそうに眺めている子供たちにコマの回し方、竹トンボの 飛ばし方等やり方を教えて、させてあげました。
子供たちは交互に珍しいものを触り、挑戦していましたが、すぐに私より上手に回したり、飛ばしたりできるようになりました。
子供たちが喜んでいる姿を見て、これらを子供たちにあげても良いと思っていたのですが、遊び終わるとコマ5個、竹トンボ2個をすぐ集めて私の所に持ってきて くれました。
私は小さいものだし、その内無くなるかなと思っていました。誰かがポケットに入れても分からなかったことでしょう。彼らにとっては楽しい遊び道具で、とても 欲しいものだったと思いますが、誰一人それを自分の物にしようとしないで、返してくれたことに感動しました。
私は物が豊かにある先進国の子の方が誤魔化したり、くすねたりするのではないかなと思いました。そういえば、日本を立つ前に宿泊したホテルの部屋に置いてある スリッパの横に、「これは備えつけの備品です。持ち帰らないでください。」と書いてあったのを思い出しました。
そのように書いてあるということは、スリッパを持ち帰る人がいるからだと思います。ホテルに泊まるぐらいの人だったら、スリッパぐらい買えないことはないと 思いますが、ここに、豊かでありながらも貪欲になっている悲しい姿を見る思いがしました。
それに比べて小さなコマ一つ、決して持っていないであろう、欲しがっても仕方ないであろう遊び道具を当然のように返してきた小学生。日本の子供たちだったら このように出来ただろうかと、ふと思いました。ポケットに入れる人はいなかったとして、頂戴、頂戴とせがまれることは覚悟しないといけないだろうと思います。
そして、ミンダナオに常駐して活動しておられる飢餓対策機構の金氏から聞いた話を思い出しました。それは、私たちがティボロに向かう途中に昼食の為、ダバオの レストランに入った時のことです。
日本国際飢餓対策機構がティボロの子供たちの視野を広げ、将来の夢を与えようと小学5・6年生の1泊修学旅行を企画し、ダバオに連れて来て都会の様子を 見せました。子供たちは信号や自転車を初めて見たと言っていたそうです。
そのなかで、金氏が子供たちに昼食をとらせる為に、そこのレストランに連れて来た時のことです。子供たちは皆出された食事の2割ほどを食べて、後は自分の 家族に食べさせるために持って帰ったというのです。
たぶん「自分だけこんな美味しいものを食べるのは申し訳ない、家族に食べさせてあげよう。」と思った結果だったと思います。
豊かになり、物が周りに溢れるようになっているのに、もっともっとと追い求める私たち、溢れる程の物を持ち、それらに囲まれて生活している私達は、彼らの 謙虚さや無欲さ、他人を思いやる優しさ等に、見習う必要があると思わされました。
そして人々に言われた。「どんな貪欲にも注意して、よく警戒しなさい。なぜなら、いくら豊かな人でも、その人のいのちは 財産にあるのではないからです。」ルカ12:15